晩翠橋 ばんすいきょう
 完成 昭和7年  橋長 127.8米 形式 3径間バランスドアーチ
 黒磯市橋本町-那須町高久甲  路線 県道55号西那須野那須線
 旧国道4号
  (現・那須塩原市) 地図で確認

 晩翠橋[バンスイキョウ]は,那珂川上流に架かる橋で,なかんずく他を圧倒する気品を持った名橋である。しかし,那須という巨大観光エリアを往来する人々の多くは当橋の優美さに気付かず通り過ぎるだろう。それは,多くの橋が持つ宿命かもしれない。特に,アーチ橋の種類の中で路面が構造物の上に在る「上路式」は,「下に川が流れている」ぐらいの思いで通過するのだが,実は下から見ると全く違う存在感にはっとする。そんな思いを特上に味あわせて呉れるのが「晩翠橋」である。
 現在の国道4号にあたる東北に通ずる大動脈の橋として戦前に造られた現橋は5代目。初代は明治17年に木造で建設された。これは,栃木県令三島通庸の陸羽街道改修伴うもので,宇都宮・白河間を最短に結ぶ為,従来の陸羽街道の西を通る脇街道であった原街道をもとに造られたものである。しかし,初代橋は,6年後の同23年に流失。2代目も木造で同24年完成。3代目4代目は明治41年・大正12年にそれぞれトラス橋に架け替えられた。そして,昭和7年完成の現橋に至り,今は昭和51年完成の新晩翠橋が国道4号を担っている。
 橋の上からは,那珂川の流れと共に,上流側には那須岳・大佐飛山,下流側に八溝山が見られる。しかし,是非とも河原に下りてこの優美の姿を見上げてほしい。
 那珂川下流の水戸市には水府橋があり,晩翠橋と同じく昭和7年完成で旧1級国道の名橋であったが,こちらは平成25年10月代替わりとなった。

 




↓那須岳

↓大佐飛山 那珂川上流方面




















↓那珂川下流方面



手前の橋が東北新幹線。奥が東北本線。
さらに奥に八溝山。




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